システムアーキテクト試験とは?合格率など試験詳細や資格取得メリット、論文対策できる参考書など解説

資格

公開日:2022.01.26

更新日:2025.03.25

システムアーキテクト試験に興味があるが、基本情報技術者試験などの他の資格とどのような違いがあるか分からない、という方も多いかと思います。
IT系の資格には数多くの種類があり、どれから受験すべきか分からない方も多いでしょう。


本記事ではシステムアーキテクト試験について解説します。
システムアーキテクト試験の概要やメリット・デメリット、おすすめの参考書についてまとめました。

また、システムアーキテクト試験に合格するためのポイントについても解説しています。


本記事を読むことでシステムアーキテクト試験がどんなものか分かります。
システムアーキテクト試験に興味のある方はぜひ本記事を参考にしてください。

<目次>
1.システムアーキテクト試験とは
システムアーキテクトとは
2.システムアーキテクト試験の詳細
システムアーキテクト試験の試験会場・日程・受験料
システムアーキテクト試験の試験時間・出題形式・出題数
システムアーキテクト試験の出題内容
システムアーキテクト試験の受験者数・合格率・難易度
システムアーキテクト試験の申し込み手順
システムアーキテクト試験の有効期限
システムアーキテクト試験の勉強時間
3.システムアーキテクト試験の資格取得のメリット
IT系企業に就職しやすい
システムアーキテクトの知識が身に付く
資格手当や報奨金を貰える
他の高度試験及び支援士試験の一部免除
4.システムアーキテクト試験の資格取得のデメリット
勉強時間を確保する必要がある
5.システムアーキテクト試験合格のためのおすすめ参考書3選
おすすめ参考書①:2022 システムアーキテクト 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)
おすすめ参考書②:情報処理教科書 システムアーキテクト 2022年版
おすすめ参考書③:不合格にならない だから“合格” システムアーキテクト 午後Ⅱ 最速の論述対策 (TAC出版)
公式サイト(IPA)に掲載されている過去問もおすすめ
6.システムアーキテクト試験は論文対策もしっかりと!
7.まとめ

 

 

 

1.システムアーキテクト試験とは


システムアーキテクト試験とは?関連画像
システムアーキテクト試験とは?関連画像

 

システムアーキテクト試験は情報処理技術者試験の1区分であり国家資格の1つです

情報処理技術者試験はスキルレベルが1から4まで分かれていますが、システムアーキテクト試験は最高レベルの4に該当します。

 

システムアーキテクト試験の対象者は「情報システム、組み込みシステムの開発要件を定義し、アーキテクチャーを設計する者」と公式サイトに書かれています。

つまり、プログラマーではなくシステムエンジニア(SE)向けの試験ということです。

 

情報処理技術者試験は、以前はプログラマー向けが中心でしたが、システムエンジニア(SE)不足が日本で訴えられるようになったことに伴い、上流工程の知識を問う試験が新設されていきました。

システムエンジニア(SE)向けの試験の中でもシステムアーキテクト試験は難易度が高めであり、合格率も毎年低めとなっています。

 

その分取得することで、ハイレベルなスキルを持ったエンジニアとして評価されます。

 

また、論文問題が出題されるのもシステムアーキテクト試験の特徴です。

システムアーキテクト試験より下のレベルの基本情報技術者試験や応用情報技術者試験では、論文問題が出題されないこともあり、論文問題に苦戦する受験者が多く、合格率が低い理由の1つとなっています。

 

 

システムアーキテクトとは

システムアーキテクトとは、アーキテクチャー設計を専門に担当する上流工程のエンジニアを指します。

顧客からの要望を元にシステムの要件を定義し、それに従ってアーキテクチャー図を作成するのが主な役割です。

 

アーキテクチャー図とは、システムの構成要素や関連性を表現した図のことです。

アーキテクチャー図は開発スケジュールおよび予算の見積もりを立てる上で参考にします。

 

システムアーキテクトのポジションを設ける会社は近年増えています。

その理由の1つに、開発するシステムの複雑化が挙げられます。

 

顧客を満足させるには、既存のシステムより優れたものを開発しないといけません。

そのため、新システムは機能が増えたり難しい機能が追加されたり、徐々に複雑化していきます。

 

複雑なシステムの場合、開発にどの程度の予算・期間がかかるか見積もりを立てにくくなります。

アーキテクチャー図を作成し全体像を把握できれば、見積もりがスムーズに行えて、その後の開発も予定通り進めることができます。

 

このような理由で、システムアーキテクトの重要性は高まっています。

 

システムアーキテクトは、要件定義や設計などの上流工程の経験が必要な仕事です。

システム開発全体の方向性を定める仕事でもあるため責任も重大です。

 

また、システムアーキテクトになるには開発知識だけでなく経営視点も必要です。

顧客のビジネス戦略を理解し、それに合わせたシステムを構築しないといけないためです。

 

システムアーキテクトとして実績を積んだ後は、プロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタントなど、ゼネラリストとしてより経営に近い仕事にキャリアアップする人が多いです。

 

 

 

 

2.システムアーキテクト試験の詳細


システムアーキテクト試験とは?関連画像
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システムアーキテクト試験の詳細についてまとめました。

システムアーキテクト試験に関する以下の事項について解説しています。

 

システムアーキテクト試験の試験会場・日程・受験料
システムアーキテクト試験の試験時間・出題形式・出題数
システムアーキテクト試験の受験者数・合格率・難易度
システムアーキテクト試験の有効期限
システムアーキテクト試験の勉強時間

 

ここで解説している情報はシステムアーキテクト試験の公式サイトを参考にしています。

 

 

システムアーキテクト試験の試験会場・日程・受験料

【試験会場】

システムアーキテクチャー試験は全国で行われています。

試験会場は自分で指定することができず、試験前に発送される受験票で通知されます。

 

おおよその試験地はこちらから確認できます。

なお、受験票は令和4年春期試験の場合3月29日に発送される予定です。

 

【試験日程】

令和4年のシステムアーキテクト試験の春期試験の日程は次の通りです。

 

 

願書の受付期間

試験日

春期試験

令和4年1月11日(火)~ 2月1日(火)18時

令和4年4月17日

 

【受験料】

受験料に関しては情報処理技術者試験は一律で7,500円(税込)となっています。

これまで受験料は5,700円でしたが、上記金額へ改定されています。

 

 

システムアーキテクト試験の試験時間・出題形式・出題数

システムアーキテクト試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱに分かれています。

それぞれの試験時間、出題形式、出題数は次のようになっています。

 

 

試験時間

出題形式

出題数

午前Ⅰ

9:30~10:20(50分)

四肢択一

30問

午前Ⅱ

10:50~11:30(40分) 四肢択一

25問

午後Ⅰ

12:30~14:00(90分) 記述式

4問から2問を選択して解答

午後Ⅱ

14:30~16:30(120分)  論述式

3問から1問を選択して解答

 

 

システムアーキテクト試験の出題内容

システムアーキテクト試験の出題内容は「情報システム」「組込みシステム・IoT を利用したシステム」に分かれます。

それぞれの出題範囲は次のようになっています。

 

【午後の試験】

【午後Ⅰ】

午後Ⅰの試験はテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の中より出題されます。

テクノロジ系で出題される内容は、応用数学や情報理論などの基礎理論やデータ構造やプログラミング、アルゴリズム。

 

他にも、入出力装置などのコンピュータ構成要素やシステム構成要素の内容が出題されます。

ITにおけるソフトウェアやハードウェアに関連する問題やインターフェイス、トランザクション処理などのデータベースなどの基本的問題も出題されます。

 

【午後Ⅱ】

分野

大分類

中分類

出題範囲

テクノロジ系

 

コンピュータ システム

コンピュータ構成要素 

システム構成要素 

技術要素 データベース 

ネットワーク 

セキュリティ

開発技術 システム開発技術

ソフトウェア開発管理技術

ストラテジ系

システム戦略 システム戦略

システム企画

※◯は出題範囲であり、◎は出題範囲のうちの重点分野を示しています。

 

【情報システム】

1.契約・合意に関すること
2.企画に関すること
3.要件定義に関すること
4.開発に関すること
5.運用・保守に関すること

 

【組込みシステム・IoT を利用したシステム】

1.機能要件の分析,機能仕様の決定
2.機能仕様を満足させるシステムアーキテクチャ及びハードウェアとソフトウェアの要求仕様の決定
3.対象とするシステムに応じた開発手法の決定
4.汎用モジュールの利用

 

詳しい出題範囲に関しては「システムアーキテクト試験(レベル4)」シラバスシステムアーキテクトの過去問を確認しましょう。

 

 

システムアーキテクト試験の受験者数・合格率・難易度

システムアーキテクト試験の受験者数と合格率を平成28年度のものからまとめました。

 

 

受験者数

合格者数

合格率

平成28年度秋期

5,363名

748

13.9%

平成29年度秋期

5,539名 703

12.7%

平成30年度秋期

5,832名 736

12.6%

令和元年度秋期

5,217名 798

15.3%

令和3年度春期

3,433名 567

16.5%

 

多少の変動はありますが、合格者は12〜16%程度の場合が多いです。

 

また、システムアーキテクト試験の難易度を知るために、令和3年度春期・秋期に行われたシステムアーキテクト試験と同じレベル4の試験の合格率も確認してみましょう。

 

ネットワークスペシャリスト試験:12.8%
プロジェクトマネージャ試験:14.4%
ITサービスマネージャ試験:15.0%
ITストラテジスト試験:15.3%
システム監査技術者試験:16.0%
データベーススペシャリスト試験:17.1%
エンベデッドシステムスペシャリスト試験:18.3%

 

システムアーキテクト試験はレベル4の試験の中でも2番目に合格率が低いことが分かります。

このことからシステムアーキテクト試験の難易度はかなり高いと推測されます。

 

システムアーキテクト試験の難易度が高い理由は、出題形式の多様さが挙げられます。

特に午後の論述式の問題は慣れていない人が多く、苦戦してしまいがちです。

 

一方、レベル4の試験の中では比較的合格率が高いエンベデッドシステムスペシャリスト試験は論述式の問題がなく、選択式と記述式のみとなっています。

経験豊富なシステムアーキテクトでもない限り、合格には相当な勉強時間を有するでしょう。

 

なお、システムアーキテクト試験の難易度を調べるには、過去問を確認するのが良いでしょう。

過去問に目を通した結果難しそうと感じた場合、応用情報技術者試験など、システムアーキテクト試験よりも下のレベルの試験から挑戦するのがおすすめです。

 

 

システムアーキテクト試験の申し込み手順

システムアーキテクト試験の申し込み手順を紹介します。

 

1. 情報処理推進機構(IPA)よりインターネット申込み
2. 申込画面から指示される手順に沿って必要事項を入力
3. 受験料の支払い(クレジットカード決済、ペイジー(Pay-easy)による払込み、コンビニでの払込み)
4. 受験票到着

 

 

システムアーキテクト試験の有効期限

システムアーキテクト試験に有効期限はありません。

システムアーキテクト試験はあくまで能力を認定するための試験です。

 

合格によって何らかの権利が与えられる訳ではないため、有効期限もないです。

 

 

システムアーキテクト試験の勉強時間

システムアーキテクト試験の勉強時間の目安は公式では発表されていません。

合格に必要な勉強時間の目安は100〜200時間程度であると推測されます。

 

ただ、システムの要件定義・設計に関する前提知識が不足している場合、更に勉強時間が必要でしょう。

 

 

 

3.システムアーキテクト試験の資格取得のメリット


システムアーキテクト試験とは?関連画像
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システムアーキテクト試験の資格取得のメリットを解説します。

システムアーキテクト試験の資格取得のメリットは次の4つです。

 

IT系企業に就職しやすい
システムアーキテクトの知識が身に付く
資格手当や報奨金を貰える
他の高度試験及び支援士試験の一部免除

 

このように様々なメリットがあるためシステムアーキテクト試験の資格取得はおすすめです。

1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。

 

 

IT系企業に就職しやすい

システムアーキテクト試験に合格することで、IT系企業への就職が有利になります

システムアーキテクト試験は応用情報技術者試験よりも難しいため、履歴書に記載されていれば採用担当者から高い評価を得られるでしょう。

 

ただし、書類選考は受かっても面接まで受かるかはまた別です。

面接ではシステムアーキテクト試験の資格を通じて何を学んだか、そのスキルを実務でどう活かすかまで伝えて、説得力を持たせることが肝心です。

 

また、次に獲得したい資格についても伝え、意欲をアピールするのが良いでしょう。

 

 

システムアーキテクトの知識が身に付く

システムアーキテクトの知識が体系的に身に付くのも資格獲得のメリットです

システムアーキテクトの知識はシステムエンジニア(SE)やプロジェクトリーダーとして働く場合でも役立ちます。

 

また、資格を獲得することでエンジニアとしての自信もつき、顧客や上層部との打ち合わせにも落ち着いて対応できるでしょう。

 

 

資格手当や報奨金を貰える

システムアーキテクト試験に合格することで、資格手当や報奨金を貰える場合も多いです

資格手当や報奨金は月5,000〜10,000円程度が相場となっています。

 

企業側は資格を通じてスキルアップして欲しいため、このような福利厚生を設けています。

資格手当や報奨金が貰えることで、システムアーキテクト試験の学習モチベーションアップに繋がる人もいるでしょう。

 

 

他の高度試験及び支援士試験の一部免除

システムアーキテクト試験に合格すると、他の高度試験や支援士試験の一部科目が免除されることもあります

そのため、他の難しい試験を受験する際に有利になります。

 

たとえば、中小企業診断士試験の「経営情報システム」や弁理士試験の「理工Ⅴ(情報)」などは免除対象となります。

こういった資格も獲得することで、エンジニアとして知識の幅を広げることができ、更に年収アップに繋がるでしょう。

 

 

 

4.システムアーキテクト試験の資格取得のデメリット


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システムアーキテクト試験の資格取得のデメリットについて解説します。

システムアーキテクト試験の資格取得のデメリットは次のものです。

 

勉強時間を確保する必要がある

 

基本的には資格取得はメリットしかありませんが、上記1つだけは押さえておきましょう。

 

 

勉強時間を確保する必要がある

システムアーキテクト試験は、情報処理技術者試験の中でも最高レベルに位置付けられており、合格難易度はかなり高いです。

勉強時間を十分に確保しないと合格することは難しいでしょう。

 

あくまで目安ですが、システムアーキテクト試験合格に必要な勉強時間は100〜200時間程度と言われています。

とはいえ、勉強時間が必要な分獲得すれば高く評価されるので、キャリアアップしたいエンジニアは受験してみることをおすすめします。

 

日々の業務が忙しい方は、前持って学習スケジュールを立てて、計画的に勉強するようにしましょう。

 

 

 

5.システムアーキテクト試験合格のためのおすすめ参考書3選


システムアーキテクト試験とは?関連画像
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システムアーキテクト試験合格のためのおすすめ参考書を3つ紹介します。

 

2022 システムアーキテクト 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)
情報処理教科書 システムアーキテクト 2022年版
不合格にならない だから“合格” システムアーキテクト 午後Ⅱ 最速の論述対策 (TAC出版)

 

システムアーキテクト試験は出題範囲も広いため、参考書を使って頻出分野を重点的に押さえて効率的に学習するのがおすすめです。

 

 

おすすめ参考書①:2022 システムアーキテクト 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)

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執筆者:フリーランススタート編集部

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